実録! 定期燻蒸から 文化財IPMへ

事例2
B県美術館様
期間:平成26年10月
展示室内にシミ(害虫の一種)が発生している
というご相談。

経緯

B県美術館様では、毎年1ヶ月間だけトラップ調査を実施されていました。

数年前より展示室内にシミが発生していましたが発生源がわからず、さらに改修工事が控えており、工事終了と同時になんらかの処理を行いたいとのことのことでした。

対策

モニタリングトラップ調査でもシミの発生源を特定することはできませんでしたが、改修工事によって餌となるホコリが増えているのは確実でしたので

  • カビ被害に対しては燻蒸処理の実施
  • 展示室内のIPMメンテナンス

をご提案しました。

ご検討いただいた結果、燻蒸処理は平成25年度内に、IPMメンテナンスは平成26年度に実施されました。

IPMメンテナンスの内容

  1. 文化財IPMコーディネータの有資格者の監督の下、文化財虫菌害防除作業主任者の有資格者が展示室の隅々まで目視点検を行い、問題点を洗い出す。(モニタリング作業)。
  2. モニタリング作業の結果から、ホコリが多い、シミの死骸が見つかったなど、重点的な除塵清拭作業が必要な箇所や、新たな問題点を確認。
  3. 除塵清拭作業を実施。

評価

IPMメンテナンス実施以降シミの捕獲数は減少傾向にあります。

IPMメンテナンスの実施中、展示ケース内で使用した掃除機のフィルタからヒメマルカツオブシムシの脱皮殻が発見され、職員の皆さんはショックを受けられていました。点検によって室内の様々な箇所からシミが発見され、日常管理の中での清掃の大切さを実感していただけたのではないかと思います。

捕獲数の減少からIPMメンテナンスの効果も確認していただけました。