カビの点検(2)
カビの点検(2)
[再発したカビの出かた(見え方)]
一旦クリーニングしてもカビの活性が高くまた湿度が高いと比較的速やかに再発します。本来、紙に発生するカビは長い時間を掛けて発生するのですが、クリーニング処理後に違う種のカビが新たに出る場合や、処理そのものが不十分であった場合は比較的速やかに再発します。早い場合は1週間から2週間で目に見えるようになります。
初発のカビのコロニーは「大きさもまばらで散在」していますが、再発の場合は「ほぼ均一の大きさでしかも密集」していることが多いようです。またカビの発生個所は初発では「天→背→表紙・見開き・小口・・・の順番」ですが、再発時には「表紙や背が比較的早いようですが順番は特にありません」。また数ケ月後に一気に発生・拡大した場合はダニやチャタテムシなどのムシによる影響も考えられます。
[再発時に注意して点検する箇所]
再発時は「天」だけでなく「背の文字部分」や「天のチリ部分」、「小口」や「地」を注意して点検します。これらの個所は再発でも密集箇所が狭く短いケースがあるからです。背文字は印刷や刻印の関係でほんのわずかですが窪んだり膨らんだりしています。このわずかな凹凸にホコリが付着しやすくカビも発生しやすくなります。処理はこの凹凸を意識しながら行う行うことも大切です。
点検に慣れてくるとLEDライトが無くても背文字周辺の見え方に違和感を感じカビ被害に気付くようになります。またご自分でクリーニングを経験されると背文字付近の凹凸やカビの出かたが他の場所とは違う事を実感できます。
[カビの種を特定する]
初発の時と同様再発の場合もカビを調べ、同じ種の再発か違う種によるものなのかを必ず調べます。
[まとめ]
①カビの初発と再発での「出かた(見え方)」の違い ●初発:コロニーは大きさもまばらで散在 〇再発:コロニーはほぼ均一の大きさで密集
②カビの初発と再発で「生える順番」の違い ●初発:天→背→表紙・見開き・小口・・・の順 〇再発:特に順番に決まりはありません。若干、背・表紙が速い印象はあります
③カビの再発時に注意する箇所 ●再発:「背の文字部分」や「天のチリ部分」、「小口」や「地」
④ムシの影響が考えられる場合の調査方法。床がカーペットの場合は要注意。 ●ダニの場合 床面を集塵して試験紙の色の変化を見ることで凡その傾向が分かります。「ダニ検査用マイティチェッカー」として知られています。 ●チャタテムシの場合 再発した図書の周辺に糞の痕跡が無いか点検します。 もしくはモニタリングトラップ(多くはゴキブリホイホイの形をしています)を3日から7日ほど配置して捕獲状況を調べます。