[社長コラム]Y'sMessageY's Message

カビの点検

meijiclix
8月 1st, 2022

[LEDライトの使用]

文化財にカビや虫損が無いかを点検する時にはLEDライトを必ず使用します。収蔵庫や書庫の照明だけでは十分とは言えません。メンテナンス用の照明がある収蔵庫でも点検の際はLEDライトの使用をお勧めいたします。   

[ホコリのリスク]                              カビの胞子は栄養となるホコリと一緒に浮遊しており基質(文化財の場合は主に木や紙)に付着し条件が整えば繁殖を始めます。従ってホコリが多いとカビのリスクも高まりますので点検の際はホコリの多く積もっていそうな箇所を先ず観察します。ご承知のように最下段の棚はホコリが多く湿度も高めです。また北側は冬場に湿度が上がりやすいので棚と壁の位置関係にも注意が必要です。さらに空調の給気口に棚が近いと夏場では冷気が直接当たり、排気口付近の棚ではホコリが多くなります。特に集密書架では空気が滞留しやすいので注意が必要です。カビに限らずホコリと生物被害は密接な関係にありますので注意が必要です。

[カビの見え方]                             さてLEDライトでカビを観るとコロニーがくっきり見えます。コロニーに陰が出来るように真横から光を当てると良く観察できます。初めてLEDライトでカビのコロニーを見ると皆さん驚かれます。「えー! こんな風に見えるんだ!」しかしコロニーが肉眼で見えている時点でカビの被害は意外に進んでいます。ホクシング(シミ)も出ていることが多いでし、胞子も産出し既に飛ばしているかも知れません。さてカビとホコリの区別は実は意外にも簡単です。                 ●ホコリはLEDライトで診ても陰ができにくく形も不規則です。       ○カビはLEDライトで診るとコロニーに陰が出来て概ね円形をしています。小麦粉を落したように見えることもあります。                 ●ホコリは一面に均等に見える場合が多く                   〇カビはコロニーが不規則に点在するような出方をします。また天から背にもカビが確認されるころになると表紙にも被害が及んでいる確率がぐっと高くなります。一方でダニやチャタテ等のムシがカビの被害を拡げたり、一度処理した箇所にカビが再発した場合は少し違う出方をします(次回触れます)。