これも非常に多い誤解です。
「ムシ被害が出ても対策が打てないのでは」と不安を感じていらっしゃるようです。
文化財IPMはまず実態把握のため、 ムシの種類や量、侵入経路を調べます。そのため、調査の印象が強いのかもしれません。
たしかに文化財IPMは生物被害の予防に重点を置いていますが、「誤解その1」でもお話したように必要ならば燻蒸処理も行います。
ただしやみくもには行わない、というだけです。
風邪の季節になれば、手洗い、うがい、マスクをして予防します。
風邪気味かなと思えば温かくして早めに寝る。
それでもひどくなれば、最後の手段として病院に行き薬をもらいます。
みなさん、そうですよね。
なにも予防せずに風邪を引いてしまい、安易に薬に頼っているのが現状の文化財保存です。
文化財IPMは生物被害に対する総合的な対策です。
ムシやカビの種類で対策は変わりますし、被害の状況によっては燻蒸以外の方法で殺虫・殺菌することも可能です。
さまざまな手段を効果的に組み合わせて文化財を守る。
時代はその流れになっています。